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読書録『早春の化石』

日本人で一番好きな作家かもしれない、柴田哲孝、
『渇いた夏』に続き私立探偵神山健介シリーズの『早春の化石』を読む。
祥伝社文庫の紙の本である。

姉の遺体を捜してほしい―。
福島の私立探偵・神山健介は東京から来たモデル・中嶋佳子から奇妙な依頼を受けた。
二年前、ストーカーが双子の姉を拉致。だが犯人は自殺し、
姉はそのまま行方不明になっていた。手掛かりは「土の中から姉の声が聞こえる」
という佳子の曖昧な話だけなのだが……。
やがて死んだ犯人の過去を追ううちに、戦前の満州から続く名家の闇が浮上する!
(amazonのストーリー紹介)

悪くはない。ジェットコースター的にサクサク読める。
柴田哲孝は、地の文章も良いし。
が、なーんか、普通のイキってる探偵の小説のようでイマイチなのだ。
特に冒頭に「チャンドラー乙」みたいな描写が多すぎ、ぐああ、となった。
チャンドラーはあの時代だからよいのであって、今やると陳腐なのだよ。
携帯電話と一緒に出て来ちゃいけないのよ。(←偏見まみれの力説)

神山が柴田哲孝の理想の男性像なのかもしれないが、なんか……中途半端に古いというか、
私はシンデレラおじさん(白馬の王子様がお迎えが来る地味女子高生のスタンスで、
若くて奔放な女性に根拠なくモテるようになる、ぱっとしないおじさん)を描く
一連の中高年男性小説が嫌いなのだが、
同一とまではいわないまでも、神山にも「はぁ?」という部分が出てくる。
不自然というか、何故?というか、必然性なくモテるのだが――そんな女いねぇって。
私は、柴田作品の中の、クリーチャーを含めた動物たちや有賀が好きなので、
犬を飼っていない神山はそれだけでイマイチなのかもしれない、けども。

また、有賀シリーズは、ジャーナリストでなければ書けないような社会問題を、
小説の背景や、事件と並行したサイドストーリーとして、話に上手く溶け込ませていた。
(島田壮司が直接話法でギャンギャン書いても「出展書きなよ」くらいにしか思わないのに、
 柴田作品中のたった数行の描写に「さすがジャーナリスト」と思う部分が多くあった。
 心が振り回されていたのか、冷静さを欠く――ジャーナリストの冷たさが
 不足しているような描写もあったように思う)

有賀シリーズにひきかえ、神山シリーズの薄っぺらさよ……

いや。いやいやいや。
普通、推理小説や探偵小説に、社会問題盛り込まないよね、とは思うのょ。
過剰な期待をしているのはわかっているのよ。
でも。でもなあ――物足りないんだよな~

重厚さがない探偵小説だと、B級っぽい話の方が好きになっちゃうんだよなあ。
はい、でも、関連作品をamazonでポチりました。

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GreenZebra2008

Author:GreenZebra2008
私の生活は「科学(仕事)」と「育児(家庭)」と「アーサーラッカム(趣味)」なのですが、子供は育ち、趣味は少しずつ変動し、仕事はそのまま続いてます。理屈っぽい割にいい加減な奴です。

**他ブログから移植したので、過去記事の画像や書式が乱れて見苦しい部分があります。

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